Chapter2 

●エンコードする際に知っておきたい動画の基本

一般的に動画にはフレームレート、解像度、コーデックといった要素から成り立っています。エンコードする際、これらのことを理解することは非常に重要になってきます。

【フレームレート】
フレームレートは1秒間に表示させる静止画(フレーム)の枚数です。単位はfpsで表現されます。日本で使用されているTVはNTSC規格で30fps、ヨーロッパ等で使用されているPAL規格で25fpsでそれぞれ1秒間に30フレーム、25フレームとなります。ちなみに映画は24fpsです。 単純にフレーム数が多ければ滑らかな再生になりますがデータ量が増えるためPC上ではフレーム数を間引きします。逆に少なくすると動きがぎこちなく見えますが、データサイズは小さくなります。ストリーミング配信をする際は、視聴者のネットワーク環境(使用可能帯域)に合わせたフレームレートの設定が大事になります。

▼推奨するビットレートとフレームレート
配信ビットレート
フレームレート
画面サイズ
45Kbps
5~8fps
160*120
300Kbps
15fps
320*240
500Kbps
15~20fps
320*240
1Mbps
20~30fps
480*360

【インターレース/プログレッシブ】
現行のTVでは(NTSC)走査線525本となっています。しかし実際はこの525本を同時に表示することはありません。この525本を上から一本おきに半分である262.5本を最初に描写し続いて残りの半分を描写します。これをインターレース(飛び越し走査)と言いPCで扱う場合非常に厄介な問題になります。映像の激しい動きの部分にシャギーがかかっているように交互のラインに分離して表示されることがあります。エンコード時にはこのインターレースを除去する設定がありますので、利用しましょう!

【解像度】
NTSC走査線525本とは言ってもTV画面に表示されない部分を含んでいる為実際は水平解像度は450本ほどとなります。これに4:3というアスペクト比をPCに置き換えると640x480のVGAサイズとほぼ同様になります。このためPC上では同じアスペクト比で使えるVGAサイズをフルサイズとしています。またVHS等では水平解像度300程度ということもありMPEGのようにVGAの半分である320x240というハーフサイズも使用されています。
ちなみに家電製品のDVでは720x480というサイズが採用されておりPCでアスペクト比を考慮しないと歪んだ画像となってしまいます。

【色情報】
コンピュータのディスプレイは色情報を光の三原則であるRGBで表示します。(R(赤)、Green(緑)、Blue(青))。一方NTSCは、輝度(Y)、色相(U)、彩度(V)からなるYUVで表示されます。
これはTVでもPCのモニターでも一緒なんですがTVでは途中の伝送で輝度信号とふたつの色信号にエンコードしたものを使用します。このエンコード方法は様々な種類がありYUVとかYCCとYIQなど多数のものが存在します。これらはみな輝度と色差で表します。色情報は4:X:Xというような表示がされますがこれは輝度4に対して色差がどれくらいあるかを表します。TVの場合は4:2:2、家庭用DVでは4:1:1が使われています。
このYUVをRGBに直すと16ビットになり、この16ビットの色を24ビットのRGBに当てはめると白は明るい灰色、黒は暗い灰色になってしまいます。
PC上で再生させるストリーミングコンテンツは、ホワイトレベルを上げ、ブラックレベルを下げるように設定すると良いでしょう。

【コーデック】
動画データは解像度×表示色×フレームレートという計算になり、これをフルサイズ、フルフレームで扱う場合640×480×3×30=27,648,000となり毎秒26MBという大きなデータ量となります。これだけの速度でHDDからデータを取り出すことは今現在不可能ですのでデータを圧縮する必要性があります。これを行うのがコーデックと呼ばれるものです。
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コーデック(CODEC:compression/decompressionの略)はその名の通りデータを圧縮、復元するプログラムでavi、movそれぞれに多数のものが用意されています。
 圧縮の方法もコーデックの種類だけあるのですが基本的には空間圧縮のみか空間圧縮+時間圧縮かです。空間圧縮とは映像を1コマずつ圧縮する方法で、時間圧縮は映像を前後のコマとの関連を見ながら圧縮する方法です。

※コーデックは圧縮したときに使用したコーデックが再生側のPCにインストールされていない限り視聴することは出来ません。特にソフトウェアコーデックは常に新しいものが開発されるため注意が必要です。また再生コーデックは無償でもエンコード用のコーデックは有償というものもありますのでよく確認してください。

【キーフレーム】
映像の中でキーとなる重要なコマ(フレーム)です。キー フレームは通常、シーン変更が生じた場合に挿入されます。また、シークを向上させるため、定期的にも挿入されます。キーフレーム設定は、エンコーダによってキーフレームが挿入されるポイント間の最小時間です (キーフレームは必要に応じて、より頻繁に自動挿入されることもあります)。キーフレーム間の時間を小さくするとビデオの品質が向上しますが、全体のファイル サイズも大幅に増えます。エンコードする場合、編集品質を向上させるため、キーフレーム間の時間を小さくすることをお勧めします。ファイル サイズをできるだけ小さくする場合は、キーフレーム間の値を大きく取ってください (20 秒など)。キーフレーム間の時間を大きく取ると、必要に応じて、予備のキーフレームが挿入されます (シーンの変更時など)。ただし、キーフレーム間の時間を大きく取ると、ビデオのシーク機能と、マルチキャスト シナリオでのユーザーの待ち時間の両方に影響を与えるという点に留意してください。

【最適な映像サイズ】
映像サイズが大きくなればその分、表示する為に必要となる帯域も高くなります。したがって低帯域のコンテンツのサイズを大きくしてしまうと映像品質が悪くなります。また、コンピュータに取り込む映像サイズよりエンコードするサイズを大きくしてしまうと、絵が引き伸ばされ映像品質が悪化します。映像をPCに取り込むサイズは、エンコードサイズよりも大きなサイズで取り込みましょう!
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【音声ボリューム】
音声ボリュームが適切でないと、ノイズが発生したり、音が割れたりします。音声取り込みの際に動画編集ソフトで調節をするか、音声取り込みの間にミキサーをはさんで音声入力調整を行いましょう。

【クロップ】
NTSCで表示される画面とPCで表示される画面が異なるので、NTSCをそのままエンコードすると、黒い縁で囲まれていることがあります。これをオーバースキャンといいますが、この黒い縁もエンコードされるということは余分なデータも圧縮データとして加算されてしまい、画質が低下する原因になることがあります。これを回避する為にもあらかじめ大きなサイズで取り込んでおき、後で黒い縁をカットするようにします。これをクロップといいます。


Chapter2 

●視聴者の環境やPC負荷を考慮したエンコード

インターネットへの接続には、専用線・FTTH・ADSL・ISDN・モデムなど様々な方法があり、視聴者が受信できるデータ量もそれぞれ異なります。コンテンツの帯域を、想定する視聴者のインターネット接続環境に合わせる考慮が必要になります。


接続環境
回線速度
ナローバンド
アナログモデム
~56Kbps
PHS
32Kbps,64Kbps
ISDN
64Kbps,128Kbps
ブロードバンド
ADSL
1.5Mbps~26Mbps
CATV
1~8Mbps
FTTH
100Mbps

※クライアントがスムーズにコンテンツを視聴できる様に、コンテンツに割り当てる帯域は、ターゲットとする視聴者の回線の60%~70%に抑える事をお奨めします。

(例)
シングルISDN →  45Kbps
1.5MbpsADSL → 300Kbps

また、高帯域なコンテンツを制作する場合には、映像サイズも考慮します。320×240のコンテンツを表示させるには300MHz以上640×480のコンテンツを表示させるには700MHzのCPUが必要です。

エンコードする際のコーデックにも注意しましょう!最新のコーデックは画質や圧縮率も高いものですが、あくまでも視聴者側にそのコーデックがないと再生できません。視聴者側が常に最新のメディアプレイヤーとコーデックを更新している場合は別ですが、会社や団体によってはファイヤーウォール内で視聴している場合があり、セキュリティ上最新メディアプレイヤーやコーデックがダウンロード出来ないケースもあります。

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●エンコーダの紹介

今現在、ストリーミング配信で中心となっているWindows Media&Real Media&Flash Videoをエンコード(変換)できるアプリケーションのご紹介をします。

▼各フォーマットに変換可能なアプリケーション類
○Windows Media フォーマッオ(.wmv)
Windows Media エンコーダ/Sorenson Squeeze 4/Cleaner XL 1.5
○Real Media フォーマット(.rm)
Real Producer/Sorenson Squeeze 4/Cleaner XL 1.5
○Flash Video フォーマット(.flv)
Flash MX/Flash Professional 8/Sorenson Squeeze 4 for Flash/Cleaner XL 1.5

Windows Media エンコーダ
現行バージョンはWindows Media シリーズ9で配布されています。動作プラットホームはWindows98/SE/XP/2000となり、他のOSでは使用できません。無料で配布され機能も充実しています。
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Real Producer
現行はHelix ProducerからReal Producerに名称が変更されており、動作プラットホームも幅広くWindows/Linux 2.2/2.4/Mac OS 8.x/9.x/Solaris 2.7/2.8で動作します。しかし、無料で配布されているHelix Producer Basicは機能制限があるので、できれば有償を導入して作業を行う事をお奨めいたします。
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Sorenson Squeeze 4 for Flash
幅広い形式のムービーを、Macromedia Flash(TM)フォーマット(SWF / FLV形式)に美しく簡単に圧縮できるエンコードソフトです。Flash 8はじめ、Flash MX 2004やMXに搭載されているエンコードエンジンより、高画質でファイルサイズの小さい動画を作り出します。Flashムービーの常識を覆す美しさ、軽さを実感して頂けます。v4.3より、新たにFlash 8に最適な「On2 VP6 Pro Plugin」が製品に収録されています。
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Cleaner XL 1.5
業界標準のエンコーダ!有料ソフトですが詳細なエンコード設定が可能なので、プロが行なうエンコード作業をトライしたい方には超お奨め!(当社も使用しております。)
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Chapter2 

●Windows Media エンコーダ の使用方法

Windows Media エンコーダを使用して、編集作成したビデオクリップ(AVIファイル)をオンデマンド配信のWindows Media フォーマット(.wmv)へ変換する作業を解説します。

この講義内で使用している動画(avi)のダンロードはこちら (zipファイル/293Mbyte)

【Windows Media エンコーダのインターフェイス】
Windows Media エンコーダのメイン ウィンドウは、現在のセッションの情報を表示する複数のパネルで構成されます。エンコードするときに表示されるパネルは、エンコードするコンテンツの種類、現在のセッションに設定したソースの数、および各ユーザーの設定によって異なります。追加のパネルを表示したり、表示されているパネルを隠すこともできます。ウィンドウに加えたすべての変更は、セッション終了後も保持されます。
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①オーディオ パネル
エンコード中のオーディオ ストリームの音量を監視および調整するためのコントロールが表示されます。
②ビデオ パネル
エンコード中のコンテンツを表示します。コンテンツの種類に応じて、エンコード前のコンテンツまたはエンコード後のコンテンツ、あるいはその両方が表示されるように、ウィンドウの設定を切り替えることができます。場合によっては、ソース コンテンツまたはエンコード済みの出力がエンコード中に表示されないこともあります。
③モニタ パネル
セッションの状態情報を表示します。

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④プロパティ パネル
現在のセッションに関連する設定を調整したり、独自のセッションを設定するためのプロパティを表示します。
⑤ソース パネル
現在のセッション内の各ソースの一覧を表示します。エンコード中にソースを切り替えるには、該当するソース ボタンをクリックします。

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⑥デバイス パネル
IEEE 1394 ポートを使ってデバイスを接続している場合、または Sony RS422 プロトコルをサポートするビデオ テープ レコーダー (VTR) を COM ポートに接続している場合に表示されます。このパネルを使って、デバイスの再生、一時停止、停止、早送り、巻き戻し、および取り出しの機能を制御できます。また、編集決定リスト (EDL) を作成して、1 つまたは複数のビデオテープのコンテンツから、特定の時間セグメントを自動的にエンコードすることもできます。

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⑦スクリプト パネル
現在のセッションを設定するときに、ソースの種類としてスクリプトを有効にした場合に表示されます。このパネルを使って、エンコード中のストリームにスクリプト コマンドを挿入できます。

※パネルの表示と非表示を切り替えるときは、[表示] メニューで該当するパネルをクリックします。実際にオンデマンド配信ファイルを作成する際に利用するパネルは①オーディオパネル②ビデオパネル③モニタパネル④プロパティパネルです。


【クイック スタートまたは新しいセッション ウィザードを使う】
コンテンツをエンコードするには、エンコード セッションを設定する必要があります。クイック スタートまたは新しいセッションウィザードを使うと、エンコードセッションを簡単に設定できます。クイック スタートは、Windows Media エンコーダに組み込まれているセッションファイルです。クイック スタートは、標準的なエンコード方法に対応するように設計されており、必要な設定がほとんど用意されているため、すぐにエンコードを開始することができます。必要な操作は、ファイル名やサーバー名など、コンテンツに固有の情報を指定するだけです。また、新しいセッション ウィザードでは、最も標準的な4 つのエンコード方法(ライブイベントのブロードキャスト配信/オーディオまたはビデオの取り込み/ファイルの変換/画面の取り込み)を設定するために必要な手順を、画面の指示に従って実行できます。

クイック スタートとウィザードは、[新しいセッション] ダイアログ ボックス (有効になっている場合) から使うことができます。[新しいセッション] ダイアログ ボックスは、エンコーダを初めて開いたとき、またはエンコーダのメイン ウィンドウでツール バーの [新しいセッション] をクリックしたときに表示されます。
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エンコード セッションの設定が終了したら、コンテンツのエンコードを開始できます。同じセッションを繰り返し実行する場合は、セッションファイルに設定を保存して、後でそのセッションを使うことができます。セッション ファイルのファイル拡張子は、「.wme」です。

win-en-09.gifでは実際にオンデマンド配信のWindows Media ファイルをウィザードを使用して作成していきましょう。
デスクトップに作成されているショートカット(右図)をダブルクリックしてWindows Media エンコーダを起動します。ショートカットがない場合はスタート>プログラム>Windows Media>Windows Media エンコーダを選択

初めて起動するか、[新しいセッション] ダイアログ ボックスが有効になっている場合は「新しいセッション」ダイヤログが表示されます。ここでは「ウィザード」にて作業を進めますので、「ウィザード」項目にある「ファイルの変換」を選択してOKをクリックして下さい。
ファイル選択画面にてエンコードするファイルの指定とエンコード後のファイル名ならびに保存先をここで指定します。Premiere6で編集出力した「.AVI」ファイルを「コピー元ファイル」へ入力(参照)します。「出力ファイル」へエンコード後のファイル名を決め、保存場所を指定しておきます。
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“コンテンツの配信”画面にてエンコードするファイルの配信方法を選択します。ここでは、ストリーミングサーバーから配信するファイルを作成するので、「Windows Media サーバー(ストリーム配信)」を選択して「次へ」をクリックします。
“エンコードオプション”画面にてエンコードの設定を行います。まず、ビデオとオーディオのエンコード方法を選択します。エンコード方法には固定ビットレート (CBR) または可変ビットレート (VBR) を利用できます。(なおインターネット経由配信では可変ビットレートは使用できません)
また、配信ビットレートの設定もマルチビットレートが使用できます。ここでは、固定ビットレート(CBR)にて同じコンテンツを複数の異なるビット レートでエンコードできる、マルチビットレートをビデオ・オーディオで選択します。
ビットレート選択は総ビットレート“282Kbps”を選択します。(複数選択が可能)
「次へ」をクリックします。
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“表示情報”画面ではエンコードする動画の題名・作成者名・著作権などを記載する事が出来ます。(任意)なお、後述するメタファイルへ題名・作成者・著作権を記載した場合にはメタファイルの情報が優先されメディアプレイヤーへ表示されます。「次へ」をクリック
“設定内容の確認”画面にて今設定した内容が確認できます。設定を変更したい場合は「戻る」ボタンで前画面へ戻り、修正・変更します。また、[「完了」をクリックしたときに変換を開始する]へチェックを入れると「完了」ボタンを押したときにエンコードが自動で開始されます。ここでは、エンコード設定をもう少し細かく設定するので、チェックをはずした状態で「完了ボタン」をクリックします。
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【詳細設定エンコード--より美しくエンコードしたい】
基本的にはここまでのウィザード設定にてエンコードが行えます。しかし、あくまでもデフォルトでの設定内容なので、もう少し詳細な設定を行い、エンコードクオリティを上げたいと思います。
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上記ウィザード設定を行い、Windows Media エンコーダのインターフェイスが表示されたら上部にある「プロパティ」をクリックすます。すると“プロパティパネル”が表示されます。このパネルでは、ソース/出力/圧縮/ビデオサイズ/属性/処理/プラグイン/セキュリティ/詳細設定の項目から各種設定が行えます。オンデマンド配信ファイルのエンコードでは主に“プロパティパネル”の「圧縮/ビデオサイズ/処理」の項目から詳細設定を行っていきます。
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「圧縮」の設定
圧縮での設定項目にはエンコード設定を左右するもっとも重要な項目が含まれています。
「圧縮」画面を選択すると、コンテンツの配信方法とエンコード設定がウィザ-ドにて設定した内容で反映された状態になっています。
ビットレート項目で配信したいビットレートを選択して、右上部「編集」ボタンをクリックします。すると、「独自のエンコード設定」画面が開き、詳細なエンコード設定が出来るようになります。
「全般」画面ではオーディオとビデオのコーデック選択と配信モードが指定できます。ここでは、最新のコーデックを選択して、配信モードもCBRにします。選択できるコーデックには個々に特長がありますので、視聴者にあわせたコーデックを選択しましょう。
コーデック一覧表を参照
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次に、フレームレートの変更をします。今回は「282Kbps」での配信を選択したので、フレームレートはデフォルトで“29.97fps”になっております。
「独自のエンコード設定」画面に「282Kbps」タブをクリックします。300Kbps前後での適正フレームレートは“15fps”になるので、“15”と書き換えます。「OK」ボタンを押します。
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なお、「圧縮」画面下にある「2パスエンコード」はコンテンツがエンコーダを最初に通過するときに、コンテンツの内容が分析されます。次にコンテンツがエンコーダを 2 回目に通過し、1回目に収集されたデータを基にしてコンテンツがエンコードされます。2 パスエンコードを利用すると、品質の高いコンテンツが生成されます。シーンの組み合わせに基づいて、ビット レート、フレーム レート、バッファ サイズ、および画像品質の最適な組み合わせを決定する工程があるためです。ただし、すべてのコンテンツがエンコーダを 2 回通過するため、処理時間が長くなります。反対に1 パス エンコードでは、コンテンツはエンコーダを 1 回だけ通過し、コンテンツに対してエンコードがすぐに開始されます。
注: 2 パス エンコードを使う場合、コンテンツが最初に通過するときには、エンコーダ内の出力ビデオは表示されません。
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「ビデオサイズ」の設定(クロップ)win-en-22.gif
Windows Media エンコーダでは、入力ビデオ画像の境界部分をトリミング(クロップ)できます。たとえば、画像の境界にはノイズが発生することが多いため、いくつかの境界をトリミング(クロップ)して、影響の出ているピクセル行を取り除くことができます。画像の各境界からトリミングする量を指定するか、トリミング(クロップ)の既定値を使います。トリミング(クロップ)した後に、出力ビデオの高さと幅を変更することができます。既定では、出力ビデオの画像は、プロファイルで指定したフレーム サイズと同じになるように引き伸ばされます。ただし、ビデオのサイズを変更すれば、出力画像をトリミング(クロップ)した画像の表示サイズに合わせることができます。また、プロファイルで指定した帯域幅に応じて、自動的にビデオのサイズを変更することもできます。変更後の表示サイズを独自に指定することもできます。

「ビデオサイズ」画面を選択すると、トリミング(クロップ)の方法で「(トリミングなし)」が選択されているので、「ユーザー設定」を選択します。すると上、下、左、右に値を入力できるようになります。トリミング(クロップ)したい場所に任意の数値を入力します。
推奨値:上、下、左、右とも20~30の値を入れれば、オーバースキャン部分がトリミングされるはずです。
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「処理」の設定(インターレース除去)
現行のTVでは(NTSC)走査線525本となっています。しかし実際はこの525本を同時に表示することはありません。この525本を上から一本おきに半分である262.5本を最初に描写し続いて残りの半分を描写します。これをインターレース(飛び越し走査)と言いPCで扱う場合非常に厄介な問題になります。映像の激しい動きの部分にシャギーがかかっているように交互のラインに分離して表示されることがあります。エンコード時にはこのインターレースを除去する方がクオリティが上がります。
ビデオの「ノンインターレース化」にチェックをいれます。もし、映像にインターレースが適用されているか分からない場合は「詳細」ボタンをクリックすると自動解析を行ってくれます。
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上記プロパティパネルから各種設定を行ったら、「適用」ボタンをクリックして、設定を反映させます。
プロパティパネルを閉じます。(右上の“×”をクリック)

さぁ、全てのエンコード準備が整いました。早速エンコードしてみましょう!
Windows Media エンコーダのインターフェイス上部にある「エンコードを開始」ボタンをクリックします。
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するとビデオパネルにエンコード進行がプレビューされます。モニターパネルには各種進行状況がリアルタイムで表示されます。
エンコードを途中で中止したい場合は上部の「停止」ボタンをクリックします。
なお、プロパティパネル「圧縮」画面にて「2パスエンコード」にチェックを入れている場合は、2パスでエンコードされるので、解析中はビデオパネルの出力にはプレビューされません。解析後、出力画面に表示されます。
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エンコード終了後は、「エンコード結果」が表示されますので、確認をしましょう!
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▼講義内でエンコードしたファイル

▲再生ボタンをクリック


Chapter2 

●Helix Producerの使用方法

編集作成したビデオクリップ(AVIファイル)をオンデマンド配信のReal フォーマット(.rm)へ変換する作業を「Helix Producer」を使用して解説いたします。なお、今現在はバージョンがアップし、「Real Producer」と改名しておりますが、操作方法などはあまり違いがありません。
Helix Producerには無償版のBasicと有償版のPlusがありますのが、Basicでは機能制限が多く、あまり実用的ではないのでここではPlusを使用した解説を行います。(Real Producerも同様)
※Basicではビデオサイズの変更やクロップなどが出来ません。

この講義内で使用している動画(avi)のダンロードはこちら (zipファイル/293Mbyte)

【取り込めるファイルフォーマット】
▼プラットフォームに関係なく取り込めるファイルフォーマット
非圧縮AVI/非圧縮QuickTime3,4,5/WAVEオーディオ
▼Windowsのみ取り込めるファイルフォーマット
圧縮AVI/AIFF/MPEG/WAV/QuickTime2

Helix Producerにてエンコードを行なう】
real-en-01.gifそれでは早速エンコードをしていきましょう!まず、デスクトップにあるHelix Producer Plusのショートカットをダブルクリックします。なければ、スタート>プログラム>Helix Producer Plusを選択します。なお、初めて起動するとダイヤログが起動され、製品登録を要求されますので、「I want to register online.I have an internet connection」にチェックを入れ、登録しましょう!

エンコードするAVIファイルをHelix Producer Plusのインタフェイス左側(Input)にある「Input file」にチェックし、「browse」をクリックしてエンコードするファイルを指定します。
指定が終わると、自動的にインターフェイス右側(Output)にある「Destination」へ指定したファイルのエンコード設定が反映されます。「Audiences」をクリックして詳細設定を行います。
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「Audiences」をクリックすると設定画面が起動します。
まず、「Audience Selection」から対象とする視聴者に適したビットレートを選択します。デフォルトでは複数のビットレートが選択済みになっています。追加をする場合は左側の「Templates」から追加するビットレートを選択して「追加ボタン」をクリックします。すると、右側の「Audience in job」に追加されます。(複数選択可能)反対に削除する場合は、「Audience in job」の削除したいビットレートを選択して下にある、ゴミ箱(削除ボタン)をクリックすれば削除されます。
今回はシングルビットレートにてエンコードしたいので[256Kbps DSL or Cable]以外は削除します。
また、選択した各ビットレートテンプレートは選択した状態で下にある編集ボタンをクリックすることで詳細な設定が行うことが出来ます。編集ボタンをクリックして下さい。
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ここでは
ビットレートは225Kbps
フレームレートを15fpsに変更
コーデックの選択はエンコードするコンテンツの内容に合わせて選択
変更したら「OK」ボタンをクリックして、画面を閉じます。
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次は「Encoding Settings」で配信するコンテンツの特性に合わせた適宜選択を行います。
なお、ここでの機能はPlusのみしか設定できない項目があります。
こちらに項目別の説明を記します。参考にして下さい。

注意点:「Resize video to」項目にてビデオ画面サイズを変更する際は、4:3の比率になる数値を入力します。

(例)Width:320  hegit:240

その際、映像ソースの縦横比を元のまま維持する「Maintain aspect ratio」のチェックをはずさないと、4:3の比率を入力することが出来ませんので、必ずチェックをはずしましょう!
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次に出力ファイル名と保存先を指定します。デフォルトでは、入力ソースと同じ場所と同じ名前が使用されているので、任意の名前と保存場所を変更しましょう!
変更するには「Edit Destination」をクリックして出力ファイル名と保存先を指定します。
全てのエンコード準備が整いましたら右下の「Encode」をクリックしてエンコードを開始します。
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エンコード中はステータスが表示されます。
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左側に入力ソース、右側にエンコード後の映像が表示され、左右映像には音声レベルが表示されます。音声のレベルメータの緑は正常、赤はオーバーな状態を表します。最大レベルが緑の上限ぎりぎりにくるように音源を調節しましょう!

途中でエンコードを停止したい場合は「Stop」をクリックするとエンコードが終了します。それ以外はエンコードが終了すれば自動で停止します。

画面左の再生ボタンをクリックするとRealPlayerが起動して、エンコードしたファイルを再生し始めます。確認をしましょう!

※講座内でエンコードしたファイルを再生