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●ストリーミングとは

今までの動画視聴方法には、サーバー側にある動画ファイル全体をユーザー側のパソコンへダウンロードしてから再生する方法が主流でした。動画ファイルはテキストファイルと違い情報量が多い為、動画ファイル自体も大きいのです。よって、その大きなファイルを何分何時間もかけてダウンロードしてから再生するにはあまり現実的な方法ではありません。
そこで、動画ファイルのデータをデータ(パケット)単位で分解してユーザー側へダウンロードさせる手法が考案され、ユーザーは動画ファイル全体をダウンロードし終わるのを待つことなく受信したデータ(パケット)単位から即再生することで、要求と同時に再生が実現出来るようになりました。この配信方法をストリーミングと言います。
いまでは、このストリーミング配信が多くの動画コンテンツで主流となっております。

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●ストリーミングの基礎

【ストリーミング配信のしくみ】
では、ストリーミング配信の流れを具体的に解説しましょう。
今までのダウンロード配信(図①)は、サーバー側にある動画データをユーザー側にダウンロードして、再生を行いました。この方法はデータ量の多い動画ファイルでは、ダウンロードするのに多分な時間を費やします。しかし、ユーザーの回線状況に左右されること無く、安定した再生が出来る点が特徴です。
ストリーミング配信(図②)はユーザーから要求があった動画ファイルをデータ(パケット)単位で分解し、データ(パケット)単位で送信します。ユーザーは分解されたデータ(パケット)を受け取ったデータ(パケット)から再生を開始します。受け取ったデータ(パケット)は一旦メモリーに記憶されますが、データ(パケット)単位で再生が終了ごとにメモリーから破棄されます。よって、ユーザーのハードディスクには動画データが残ることはありません。
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【bpsとは何?】
インターネット回線の通信速度を表すときに使われる単位が「bps」です。これは「bit per second」を略したものです。意味は1秒間に何ビットのデータを転送できるかを表します。また、これを単位とする数字を「ビットレート」と言い「ビット」とはコンピュータが扱う最小のデータ単位なのです。
(例)
8ビット = 1バイト(byte)
1キロビット = 1,024ビット

56Kbpsの場合は
56 × 1,024 = 57,344ビット(1秒間に57,344ビットのデータを転送できる)
57,344 ÷ 8 =7,168byte(1秒間に7,168byteのデータサイズを転送できる)

【バッファリングとは?】
ストリーミングを視聴する際、プレイヤでストリーミグが再生されるまでの間や、ネットワークが混雑している最中に「バッファリング中」というメッセージを目にする事があります。これはマルチメディアデータの再生に必要なデータを事前に蓄積(バッファ)している事を意味します。
ストリーミングでマルティメディアデータを再生する場合、安定した再生を維持する為に、プレイヤはあらかじめデータをバッファに保持します。データの受信が途切れたとしても、次のデータが届くまで蓄積しておいたデータを再生する事によって、音声や映像が途絶えることを回避しているのです。
※Windows Media9 ではこのバッファ処理がほとんど行われなく、リクエストと同時に即再生されるファストストリーミング機能があります。

【オンデマンド配信】
あらかじめ動画ファイルを作成し、それをサーバーへアップロードしておくのがオンデマンド配信です。視聴者はサーバー上にある視聴したい動画ファイルへリクエストをする事で、動画が最初から再生され視聴を開始する事が出来ます。直訳のごとく「On Demand=要求に応じて」再生がスタートし、「停止・一時停止・早送り・戻る・スキップ」などが視聴者の側の操作で可能になります。(ストリーミングサーバーからの配信時)
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オンデマンド配信に適しているコンテンツとしては、下記が考えられます。

映画やアニメの公開・各種プロモーション・自主制作映画・レッスン・決算報告・投資家情報(IR)・採用告知・セミナー模様・広報・宣伝・店舗紹介・ネット通販での商品説明/機能説明・各種授業・講義・研修・結婚式や披露宴の模様・お子様の成長記録・など

アイデアひとつで色々なオンデマンドコンテンツが可能になります。

【ライブ配信】
オンデマンド配信とは違って、視聴させたい動画を撮った分だけ順次にストリーミング配信用のデータへ変換してライブ(リアルタイム)で配信する方法です。これは、被写体をビデオカメラで撮影して、リアルタイムでストリーミングファイルへ変換。変換されたストリーミングファイルをインターネット上に配信するのです。TVの生中継番組みたいなものです。オンデマンド配信のように後で見ることは出来ませんが、直接会場に行かなくてもイベントの雰囲気が味わえます。
必要な機材と環境さえあれば、誰でも簡単に配信することができ、ミニTV局を開設することも出来ます。
なお、オンデマンド配信では可能であった「一時停止・早送り・戻り・スキップ」などの操作は出来ません。
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ライブ配信に適しているコンテンツとしては、下記が考えられます。

監視システム・交通情報・ライブオークション・イーラーニング・会議・研修・セミナー
パーソナル放送局・結婚式のライブ・現場検証・など
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●ストリーミングを視聴するには

今現在、ストリーミング配信フォーマットで中心となっているメディアとして4大フォーマットが揚げられます。 1.Windows Media 2.Real Media 3.QuickTime 4.Flash Video 4format-yoko.gif 上記4大フォーマットはそれぞれ圧縮形式(コーデック)が違うので、各フォーマットごとにメディアプレイヤーを用意しなくてはなりません。各フォーマット対応メディアプレイヤーは次です。
1.Windows Media = Windows Media Player
2.Real Media = RealOne Player
3.QuickTime = QuickTime Player
4.Flash Video = Flash Player

[*注意*]
各フォーマットごとに最新のコーデックを発表しますので、最新コーデックでの再生は各社から配布されているコーデックをダウンロードしなくてはなりません。(基本的には各メディアプレイヤーが自動でダウンロードしてくれる)

[ 各メディアプレイヤー入手先 ]
Windows Media Player(Microsoft社)
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/download/default.aspx

RealOne Player(RealNetworks社)
http://www.real.com/realone/index.html?lang=jp&loc=jp&src=jphome

QuickTime Player(Apple Computer社)
http://www.apple.co.jp/quicktime/download/index.html

Flash Player(Macromedia社)
http://www.macromedia.com/shockwave/download/download.cgi?P5_Language=Japanese&Lang=Japanese&P1_Prod_Version=ShockwaveFlash&P5_Language=English&Lang=Japanese

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●ストリーミングを配信するには

ストリーミング配信を実現するまでの作業フローは次になります。結構やることが多いのです。

1.配信する素材を準備または撮影する
2.素材をパソコンへ取り込む(キャプチャー)
3.動画編集ソフトで編集をする
4.ストリーミングファイルへ変換する(エンコード)
5.ストリーミングサーバーへアップロードする

◆必要な機材&アプリケーション
ここでは、ストリーミング配信をする動画を自分で撮影するケースでご紹介します。

006.jpg○撮影に必要な機材
[ビデオカメラ]
アナログカメラでも良いがパソコンとの相性が良いDVカメラを選択しましょう!デジタル収録できるので、画質の劣化はありません。
[三脚]
ブレの少ない映像を撮影するには必須です。
[照明]
室内撮影をする場合はあったほうが良い。

○取り込みや編集などで必要な機材&アプリケーション
[パソコン]
パソコンがなくてはノンリニア編集は行えません。下記に推奨するパソコンスペックを記述します。動画編集はマシンスペックが高いほど効率性が増します。

▽CPU:PentiumⅢ 500Mhz プロセッサ以上
*パソコンのデーター処理命令をする機器。パソコンの性能はおおむねCPUで決まります。
▽メモリー:256MB以上
*パソコン上でソフトウェアのデータを貯めておく機器。
▽ハードディスク:20Gbyte以上
*データを保存しておく機器。
▽VGA:nVidia Geforce2以上
*パソコンのモニターに画像を表示させる機器。
▽サウンド:PCIバス接続のサウンドボード以上
*パソコンのスピーカーに音を出す機器。
▽OS:Windows2000 or XP
*基本オペレーションシステム。これがないとパソコンは動きません。

○IEEE1394ケーブル(FireWire or i Linkとも呼ばれます)
DVカメラで撮影した動画をパソコンに取り込む際に使用します。ご使用のパソコンとDVカメラにDV端子が設けられている事を確認しましょう。DV端子の規格には4pin or 6pinの2種類が主流です。ご使用のDV端子規格をしっかり確認をして規格に合うIEEE1394ケーブルを用意しましょう!
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○[動画編集アプリケーション]
DVカメラとパソコンをIEEE1394ケーブルで接続して、ビデオをパソコンへ取り込み、必要に応じて編集も行います。動画編集アプリケーションを用意しましょう。数多くの動画編集アプリケーションがありますが、操作性や機能面で自分に合ったアプリケーションを選択しましょう!

推奨動画編集アプリケーション(Windows版)
Premiere Pro(アドビシステムズ株式会社)
VideoStudio9(ユーリードシステムズ)

○エンコードアプリケーション
配信したい動画(ビデオ)は、ストリーミング形式のファイルへ変換しなくては配信できません。
ストリーミングファイルへ変換する作業を“エンコードする”と言います。その際、エンコーダが必要になります。また、配信したいフォーマットごとに使用するエンコーダも違ってきます。

▽Windows Mediaに変換
Windows Media エンコーダ9(Microsoft社)/無料

▽Real Mediaに変換
RealProducer Basic(Real Networks社)/無料

▽QuickTimeに変換
QuickTime Pro(アップルコンピュータ社)/有料

▽Flash Videoに変換
Flash Professional 8(Macromedia社)/有料

▽Win/Real/QT/Flashに変換できる
Cleaner XL(Discreet社)/有料
Sorenson Squeeze(フラッシュバック社)/有料

○ストリーミング配信サーバ
ストリーミング配信を実現するには、ストリーミング配信アプリケーションが必要となります。4大フォーマットに対応したストリーミング配信アプリケーションは下記になります。

▽Windows Media
Windows Media Service/Helix Universal Server

▽Real Media
Helix Universal Server

▽QuickTime
Mac OS X Server/Helix Universal Server

▽Flash Video
Flash Media Server2

自社で用意するとなると、広帯域回線の確保やアプリケーションの導入、管理などリスクが大きいのでストリーミング配信業者へ依頼するのが良いでしょう。